今回も多数のご応募ありがとうございました。学生らしいチャレンジングな作品や、温かな作品を多くみることができました。
そのような作品の中から最終審査の結果は以下の通りとなりました。受賞された皆さま、おめでとうございます!
準グランプリ
「僕のおばあちゃん」
高居 勇晟さん(京都精華大学) 作
【講評】
おばあちゃんの日常とその魅力をよく表すシーンが12分間の中に過不足なく上手く構成されており見事でした。シンプルな構成と無駄のないシーンは見やすかったです。通常ドキュメンタリーには「ここから何かを感じ取ってほしい」「より良く⽣きるためのヒントを得てほしい」というような教科書的な堅苦しさがあるものです。観る⽅もそれなりに構えてしまいます。しかしこの作品では、よくありがちな若い頃の苦労やエピソードなどが全く紹介されていないシンプルさに共感を持ちました。この作品を⼀⾔で⾔えば『毒にも薬にもならないドキュメンタリー』です。これは⾃分なりの最⾼の褒め⾔葉です。
特別賞
「旧好茶村 ハオチャ村」
小川 貴士さん(上海戯劇学院) 作
【講評】
世界に開かれたテーマ選定と、ルカイ族の人々を被写体にした取材力、そして映像表現は卓越していたと思います。ただ、旧好茶村での⼈々の⽇々の暮らし、ささやかな喜び、他国の勢⼒に翻弄されてきた歴史、様々な要素に迫っているのに、それらを消化しきれないまま、まとめ上げてしまったような印象を受けてしまいました。観る人にとって最低限の前提となる知識をもう少し共有させてあげても良いかと思いました。
入賞
「沈ませない未来 –⽯⽊ダム反対派の視点から–」
松尾 凪倖さん(上智大学)作
【講評】
全体として非常にまとまっていて見やすく、反対住民の方々の声や想いを届け、問題を広く世に知らせるための作品としてしっかりと作られていると思います。ただ、⾏政側や推進派の意⾒が語られていないので、ドキュメンタリーというよりはリポートといった⽅が良いのではと思いました。住民と行政の両論併記をする必要はないと思いますが、治水と利水の問題点はもう少し説明してほしかったです。この部分が唯一論理的に闘う武器になるので。それでも、テーマに対する真摯な姿勢が伝わってくる良作であると感じました。
入賞
「FATHER and SON」
木下一心さん(東京造形大学) 作
【講評】
作り感のある映像表現や編集テンポが心地よい作品ですが、個⼈レベルの出来事で終わってしまっているような印象でした。他愛のない会話が多く、それがリアルなのかもしれませんが、今一つ父親に真っ向から向き合っていないように感じました。父親と話すことで何らかの科学反応があるわけでなく、なぜ今、会わねばならなかったのか、作品にしたかったのかという疑問が残りました。しかし、カメラの力を借りて動く、そして向き合う。このドキュメンタリーを作ったことで、貴重な⼀歩を踏み出すことができたのだろうと思われます。
※今回はグランプリ作品該当なしとなりました。
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